教えて学ぶFX

本業は英語教師の兼業FXトレーダーです。ブログを通じ、読者の方々と一緒に成長していければと思います。

損切の心理的ハードルを下げるための考え方

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損切はFXトレードの基本です。

利益よりもまずは損失から考える。

エントリーポイントを決める際には、同時に損切ポイントも決めておいて、

その基準に達したら自動的に損切をするように徹底しなければなりません。

 

しかし、どうしても損切って気分のいいものではありませんよね?

トータルで利益を残すためには必要だと分かってはいても、

素直に損切できないのが人情というものです。

 

この記事では、損切への抵抗感を少しでもなくすための方策について考えてみます。 

 

 

 

どうして損切しなければならないのか?

 

そもそも、どうして損切をしなければならないのでしょうか。

レバレッジをかけない株式の現物投資などの場合は、

そもそも最初から損切をしない、という投資方法もあります。

どれだけ下がっても株が紙切れになるだけなので、

下がる株はそのまま塩漬けで放置しておいて、

上がる株でその分の損失を取り戻せばいいという考え方です。

(いわゆる、バイアンドホールドと呼ばれる戦略です。)

 

この手法は、FXのデイトレードレベルでは機能しません。

基本的に、FXは株に比べて値動きが非常に小さいため、

レバレッジをかけることで初めて収益化できます。

レバレッジをかける、ということは元本が0ではなく、

マイナスになる可能性を含んでいるということです。

 

したがって、損切を適切に行わなければ、

10回中9回は損切をしないことで元の値段に戻って助かったとしても、

その内1回でも戻ってこないことがあれば、

それで資金をすべて吹き飛ばしてしまうことになります。

 

勿論、FXでもレバレッジ1倍などで取引すれば、永遠に塩漬けすることもできます。

為替市場は基本的には史上最高値と最安値のレンジ相場であり、

インフレリスクの高い一部の高金利通貨などを除けば、

数年~10年単位で一定のレンジをいったりきたりしているので、

仮に含み損になっても持ち続けていれば元の値段に戻る可能性は高いです。

しかし、その期間、大量の資金を拘束された状態になりますし、

それなら年利数%の投資が他にもたくさんあるので、そちらに資金を回した方がはるかに効率的です。

 

株とは違い、FXでは損切は必須であると考えた方がよいです。

 

 

損切が受け入れられない理由

損切が精神的に受け入れにくい理由はいくつかあります。

 

有名なプロスペクト理論というものがあり、

複雑な説明は割愛しますが、(Google検索してください)

簡単に言えば、

人間は、利益の喜びより損失の痛みの方が2倍大きいというものです。

 

例えば、

好きな人に告白が成功して嬉しい!

という気持ちよりも、

恋人に振られて最悪・・・

という気持ちの方が、インパクトが強いということです。

 

よって、人間はより強い損失の痛みから逃げようとする性質があるので、

自然と楽な方、つまり損失を放置し、それを確定させる痛みから逃げようとします。

 

 

また、損切をするという行為は、

自分のトレードを間違えていたと認めることになります。

 

誰しも、自分が間違っていたと認めることは抵抗があるものです。

自分を正当化するために、損切をすること、間違いを認めることから逃げようとします。

 

 

トレードをビジネスとして考えてみよう

先ほど述べた通り、人間は感情のままに動くと、

損失を放置し、損切を先延ばしにしてしまう性質を生まれながらに持っています。

 

その損切を抵抗感無く行えるようにするためには、

損切がなぜ必要か、ということを論理的にしっかりと理解し、

それを腹の底に落とし込む必要があります。

 

そこで、このように考えてみてはいかがでしょうか。

 

トレードをビジネスとして考え、

損切を必要経費として考えるのです。

 

具体例を挙げてみましょう。

 

例えば、一本100円で売れる大根を50円で10本仕入れるとします。

その大根は、10日以内に売れなければ腐って廃棄しなければならないとします。

(本当はもっと日持ちするかもしれませんが、たとえ話なので分かりやすくします。)

 

この場合、

10日以内に10本全て売れる  ⇒500円の儲け

10日以内に10本全て売れない ⇒500円の損失

になりますよね?

 

全ての大根が売れればよいですが、

基本的に小売業ですべての商品が毎回売り切れることはありません。

必ず売れ残って廃棄しなければならないものがでてきます。

 

しかし、上記の例の場合は、廃棄率が50%以下、

つまり、10日以内に6本以上の大根を売ることができれば、

最終的には利益が残ります。

(テナント代や光熱費などは今回は省略しています。)

 

さらに、もし仮に、仕入れ値を30円にすることができたり、

うまく相場を読んで売値を120円などにすることができれば、

さらに利益率を上げることができますよね。

 

トレードにおいて、

エントリーしてポジションを持つ

という行為は、

経費を払って大根を仕入れる

ということです。

 

そして、大根が売れる、ということは、そのトレードが利益になることを意味し、

大根が売れ残って廃棄される、ということは、そのトレードが損切になることを意味します。

 

そのように考えると、以下のような思考がいかに無意味かお分かりになるでしょう。

 

①損切になるのが怖くてポジションが持てない

 ⇒廃棄する大根が出るのが怖くて、大根が仕入れられない

 

②損失が膨らんだポジションをいつまでも持ち続けてしまう

 ⇒腐った大根をいつまでの店に陳列して、利益を生む新しい大根を仕入れられない

 

③損切ラインを動かしてしまう

 ⇒10日経って腐った大根が再び新鮮な大根に戻ることを期待して20日放置する

 

他にも具体例を挙げることはできますが、

いかなる状況においても、仕入れ値(想定最大損切幅)を事前にしっかりと確認し、

消費期限を過ぎたら(エントリー根拠がなくなって損切ラインに達したら)、何も考えずに損切を徹底することがベストなのです。

 

仮に、常に一定の割合の商品を廃棄(損切)しても、

売れる商品をきちんと選んで(勝率の高いエントリーポイントをしっかり絞って)、

想定利益と経費のバランスが良ければ(リスクリワード比率が悪くなければ)、

そのビジネスを続けていく限り、かならず利益が残ります

 

利益ー損失=最終利益

この簡単な方程式がきちんと理解できた人が、

トータルで利益を残せるトレーダーになれます。

 

 

 まとめ

損切は、割と早い段階でできるようになる人が多いと思います。

大抵、FXトレードを始めて間もないころに、損切をしなくて大変な目に会う経験をするはずなので、

ほとんどの人はその経験から損切自体はできるようになります。

 

しかし、損切を、まれに発生する大惨事から身を守るもの、とだけ考えていては、

普段の損切をまったくストレスなく行っていくことは難しいです。

 

今日紹介した、ビジネスの考え方、

損失は利益を上げていくために必要な経費である

という考え方が腹に落ちれば、

日常的な損切もストレス少なく行うことができるようになると思います。

 

参考になれば幸いです。

 

では!