「100年に一度の金融危機」が実は頻繁に起こる理由
現在、日本、米国、全世界ともに株価は大暴落
為替相場も軒並み高金利通貨が売られ、
今から約10年前に経験したリーマンショックの初期のような感覚を覚えています。
勿論、これからさらに下がるのか、すぐに持ち直すのかは全く分かりませんが、
特にリーマンショック以後に投資やトレードを始めた人には印象的な相場になっているのではないでしょうか。
私がリーマンショックを経験した時、「100年に一度の金融危機」という見出しをよく目にしました。
しかし、私はこの「100年に一度の金融危機」という言い方があまり好きではありません。
なぜなら、この言葉は非常に無責任ですし、読んだ人にあらぬ誤解を与えると思うからです。
今日は、なぜ「100年に一度の金融危機」が頻繁に起こるのか、私の考える理由をお話します。
なぜ「100年に一度の金融危機」という表現が好ましくないのか?
もし皆さんが、「100年に一度の金融危機」という言葉を聞くと、
どのように感じられますか?
私は、
100年に一度の金融危機なら、当分(生きている間は)もうこういうことは起こらないだろう。
とか、
リーマンショックが100年に一度の金融危機だったなら、今回はそこまでの動きにはならないだろう。
とか、
そういう自分への暗示のようなものを感じてしまいます。
ポジションを持っている時にこういった感情が生まれると、
例えば損切が遅れたり、
さらにそこからナンピン(買い増し)してしまい、傷口を広げてしまったり、
二度と立ち直れないレベルのダメージを受ける可能性が高まってしまいます。
この表現を使われると、特に自分が含み損をかかえたりして不利な状況になっている時に、救いの福音のように聞こえ、根拠の無い安心を得る材料と化す、というのが私の考えです。
「100年に一度の金融危機」の発言者は過去しか見ていない
ここを取り違える人が多いと感じているのですが、
「100年に一度」というのは今の時点を基準にして、過去と比較しています。
例えば、リーマンショックの後にそれ以上の暴落が起これば、それが100年に一度の金融危機になりますし、
さらにその後にさらなる暴落が起これば、それがまた100年に一度の金融危機になります。
言い換えれば、オリンピックの世界新記録のようなものだと思います。
スポーツ科学の発展やスポーツ用品の技術的な進歩により、将来的に記録はどんどんと更新されていくはずです。
相場もどんどんと進化している
オリンピックの記録が技術の革新によって更新されていくように、
株式や為替の世界も進化しており、その記録は更新されていきます。
つまり、暴落の歴史も過去を更新していきます。
オリンピックの世界では、記録を更新する要素はスポーツ科学の発展とスポーツ用品の技術的な進歩でした。
では、株式や為替、相場の世界での進歩とはなんでしょうか。
それは、世界の富が増え続けているということです。
我々人類は、経済活動を行い、科学を進歩させ、どんどん豊かになっています。
(個人レベルではなく、人類全体で見た話です)
そして、経済活動が進めば進むほど、豊かになった人はモノを求め、
モノの価値が上がり、インフレが進んでいきます。
(日本は先進国の中で唯一長期間デフレが続いていたので、あまり感じませんが・・・)
そして、インフレが進み、
例えば、30年前に100円の価値だったものが、現在1000円になっているとしましょう。
その時点で50%の価格の暴落が起こった場合、
30年前 100円 ⇒ 50円
現在 1000円 ⇒ 500円
になります。
そして、同じ50%という下落だったとしても、
30年前は50円の下落ですが、現在では500円の下落であり、単純に金額ベースで見れば10倍の下落になっています。
つまり、たとえ暴落の%ベースの幅が同じでも、インフレによってその下落金額は全く変わってくるのです。
豊かになればなるほど、金額ベースでの変動幅は過去と比較して大きくなっていきます。
世界経済が発展していく限り、これから起こる暴落の幅は、常に過去の最高値を更新していく可能性をはらんでいる、ということです。
まとめ
今回は、私が「100年に一度の金融危機」が、実際にはもっと頻繁に起こると考えている根拠をお話させていただきました。
これは、私の個人的な考えなので、正しいかどうかは分かりません。
しかし、リーマンショックのような下げは100年に一回しか来ない、という先入観は非常に危険だと思います。
相場に接する時は、常にそのリスクを意識し、最悪の事態にも対応できる準備をしておくことが大切だと思います。
参考になれば幸いです。
では!